実用例
現在、看護師の関わりを中心した術後鎮痛管理システムが導入されているのは、東京慈恵会医科大学附属第三病院と河北総合病院です。基本的には、導入課程の流れで導入しましたが、病院により以下に紹介するよな違いも多少見られました:
1. 慈恵会医科大学附属第三病院

東京慈恵会医科大学附属
第三病院
病床数:581床
年間手術件数:6000件
麻酔科常勤医数:7人
導入までの期間:1年半
導入日:2016年10月
導入課程のポイント:
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導入前にワークショップを35回行なった
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リンクナースがない
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作成した術後鎮痛管理アルゴリズム(4種類)を導入前に各病棟に紹介し、配布した
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導入前にシステム導入計画について医療安全研修会で紹介した
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麻酔科医が術後鎮痛管理経過を電カル上で観察できるように独自の患者リストを作成
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スミスメディカルのPCAポンプ(CADD-Legacy PCA)を使用(10台、iv-PCA専用)
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iv-PCAにモルヒネを使用
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硬膜外麻酔のPCEAには、一回使用のバルンジェクタを使用
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臨床工学師が、PCAポンプの使用後、毎回確認し、メインテナンスを行なっている
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術前麻酔診察中、各患者に「痛みは数字で」のポスターのコピーを配る
システムの導入6ヶ月後に行ったアンケートの結果は以下の通りでした:

病院の外科ホームページでは、システムの効果を以下のように紹介してあります:
「当院麻酔科では、手術中の管理だけでなく、術後の疼痛の対策にも積極的に取り組んでいます。術後鎮痛のアルゴリズムを患者さん毎に作成し、持続的な痛み止めの投与と、頓用の痛み止めを段階的に準備し、患者さんが、痛みを可能な限り感じないで周術期を過ごせるように努力しています。」
2. 河北総合病院

病床数:331床
年間手術件数:4000件
麻酔科常勤医数:1人(+常時6名程度の派遣スタッフ)
導入までの期間:1年半(トマシュが週一回勤務)
導入日:2018年11月
導入課程のポイント:
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リンクナースを指定
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教育にYouTubeビデオを使用し、各病棟の受講率を80%前後にした
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河北総合病院の術後鎮痛管理アルゴリズム、指示・点滴伝票のセット、術後鎮痛管理経過表の内容を主にリンクナース、薬剤師、外科医と相談して作成した
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IT課の協力で麻酔科医が術後鎮痛管理経過を電カル上で観察できるように患者リストを作成
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PCEAとiv-PCA(フェンタニル)には、一回使用のそれぞれのバルンジェクタを使用
6ヶ月たって、今まで術後鎮痛に関して意見を言ってなかった看護師が、自ら患者に多角的鎮痛管理を個別に調整していく場面が徐々に増えていきました。
3. その他
杏林大学病院・多摩総合医療センター・福山医療センター・信州大学附属病院・山梨大学附属病院で術後鎮痛管理システムを紹介し、導入に関して相談を受けています。